2 妖精と即興楽曲<トッカータ> - 8,即興戦線

「ロイド!ルーク!2人とも、合図したら一気に攻撃!」


一匹、切り伏せながら、リンクが叫んだ。

「合図したらってオマエ、あいつあんな高いところにいるんダぞ!」

こっちの攻撃なんて届くワケがない。


そう突っかかったのはミド。

「目が弱点なのは分かってるんだ     だから」

腰のベルトに挟んだままのパチンコを軽く叩く。


「こいつで目を射てば、落っこちて来るかもしれないだろ!?」


「よっしゃあ!ザコは任せろ!」

どかっと一匹を掌に集めた赤い光で吹き飛ばしたルークが、

「じっくり狙えよ!リンク!」

同じく上下に描いた軌跡でざくっと斬り伏せたロイドが、それぞれ応える。


リンクを背にして、この先は行かせまいと剣を、技を振るう。


その後ろでリンクは、ぐいっとパチンコのゴムを引き延ばし、構えた。


その先には、天井に張り付き、幼生の卵を産んでは移動を繰り返すゴーマがいる。

今まで狙ったことがあるものとは、比べ物にならないほど、遠い。


不気味に浮かぶ的が、天井を忙しなく動き回る。

灯りは傍らの妖精と、的でもあるゴーマの赤い目玉のみ。


その目玉は、真下で戦うロイドとルークの上をうろうろしている。 2人が幼生体を斬り伏せると、卵を産んでまた増やす。その繰り返し。 リンクの方は見向きもしていないようだ。卵を産むことだけ、回復する時間を稼ぐことだけを考えているんだろう。 それだけ2人は強い。

戦いなんかしたことが無いリンクにだって、それがわかるくらいに。


それでも外せば、あの目はこちらを向くだろう。自分が狙われていることを知って。

だから

絶対に当てなきゃならない。


当たるだろうか。

手がふるえる。

周りの音が遠くなる。

「リンク!危ない!」


ナビィの声に、はっと我に帰る。

ふいに幼生体が一匹、リンクの目の前に下りて来た。成体のように目を真っ赤に染め、硬質のトサカをリンクに向ける。

今にも襲いかかって来そうな体勢で     


剣に持ち替えるには、遅すぎ・・・


「うわあああああ!!!!」


ごっ

鈍い音がして、幼生ゴーマが倒れた。


辺りに石の破片が散らばる。

ぽかんとそれを見ていたリンクに、


「何やってんだ!」


息を切らせて、ミドが叱咤する。


「とっとと射てよ、このノロマ!」

それを見て思わず薄く、笑みがこぼれた。

嘘みたいに震えが止まる。

キッと前を見据えて、卵を産むために一旦停止したゴーマのその、まるく見開いた目玉に向けて

「くらえ!」

パシュッ!

戦闘の最中にあって、ゴムがしなる音が響く。

それはまっすぐにねらった先へ     ゴーマの目玉へ飛んで行った。


ゲギャッッ!?


不意の衝撃に、天井から手を離したゴーマ。


文字通り真っ逆さまに墜落していく     !

「今だ!」

リンクが叫ぶ。

どさっと砂埃を巻き上げ地に落とされたゴーマ。


なんとかその場を離れようと、もつれる足を必死に動かす。

砂塵で周りが見えない     そこに


左右から風を切って現れた2つの影     ロイドとルークが各々の剣を構え、 互いに交差するように、飛ぶように鋭い、突きの挟撃を放つ     

残る十字の軌跡。

地下洞に響くゴーマの絶叫。

ばたばたと倒れて行く、幼生達。

ゴーマは、しばらくのたうちまわった後、力尽きた。


禍々しい紫の炎をまとって・・・


『衝破十文字』

ゼル伝の戦闘って技名叫ばないんですよね・・・
その中でいかにテイルズの技を表現するか悩みました。
技名叫びてぇ・・・!


そして

やりたいことやりました(笑)

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