辿り着いた広場。異変は既に起きていた。
青々とした木の葉が宙を舞う。
見ただけでもまだ若葉と思えるようなものまで。
地に広がる巨大な根にはひびが入り、今にも枯れてしまいそうだ。
あまりの光景に、四人と二匹は息をのんだ。
「「デクの樹サマ!!」」
その光景を見るや否や、飛び出したリンクとミド。
さわるだけでぼろぼろと崩れる表皮に、思わず後ずさる。
「なんだよこれ…!どういう事だよ!」
「デクの樹サマ、何があったの?デクの樹サマ!!」
ついさっき、「またあしたの」って言って別れたばかりじゃないか。笑うたびに大きな枝をゆらして、愉しそうに・・・
それなのに・・・
「おい!これは
!」
ロイドの声にはっと目を向けて
声を、失った。
デクの樹サマの腹に、何かが食い破って行ったような大穴が開いている。
かなりの大きさだ
3mは、堅い。
「そんな・・・!」
マツリの間に控えていた場所だから覚えてる。こんな大穴、開いてなかった。いや、開いてるはずがない。
「・・・行ってみよう」
静かな声。
「ロイド!?」
「だな、まずは何がいるのか確かめてみねーと」
ルークがそれに続く。
「オマエまで何を
」
「2人はここで待ってろよ」
必ずデクの樹様をこんなにした元凶を倒して帰ってくるからさ。
左右に下げた得物を確かめ、ロイドがコキリ組に言った。
「
待って!オレも行く!」
「リンク!?」
一歩前に踏み出したリンク。ミドが信じられないといった顔でリンクを見た。
「何言ってんだ、こっから先は何がおこるかわからねーんだぞ?」
ルークが慌てた。こんな危なそうな所に、こども(今は自分たちもだが)を引き連れてなんて行けない。
「そうだ、2人はここで待っ
」
「待ってなんていられないよ!!」
リンクが叫んだ。
「デクの樹サマが苦しんでるのに、ただ待ってるなんて出来ない。
何でもいい、オレも何か力になりたいんだ
オレに出来ることを」
ロイドが前に出る。
リンクとほぼ同じ
むしろリンクの方が若干高いくらいの
目線なのに、ロイドがやけに大きく見えた。
「・・・中には、さっきみたいなモンスターが出るかもしれないぞ」
静かに切り出すロイド。
「わかってる」
「むしろ強い奴がいるかもしれない」
「うん」
「覚悟はあるか」
「ああ!」
強い、返事。
「
わかった」
緊張が解けて思わず顔がほころぶ。
「・・・じゃあ」
「
ただし!」
「無茶すんなよ?」
「ああ!」
「行こう!」
ルークの声で、三人が駆け出す。
「
ッ、待てよ!おいらも行くゾ!!」
半人前の妖精なしとヨソ者にまかせてられるか!
走り出すミド。
と、ミドの妖精が彼の肩をたたく。
「なんだヨ」と振り返ってもらったところで祭壇の方へ飛んで行き、木の板、もといデクの盾を持って来た。
盾が重くてふよふよと頼りない飛び方。やっとのことでミドのもとにたどり着く。
そうしてミドに盾を受け取ってもらうと、素早く二三回くるくるとミドの周りを飛び、先に飛んで行った。
「あ”ッ、ま、待てっ・・・!」
あわてて追いかけるミド。
暗闇の中に、続く