それぞれの序曲<オーバーチュア>
夢を見た
真っ暗な夜
雨が激しく降っていて
雷が鳴り響いている夢
そこは 知らないところだった
自分の隣には妖精が一匹
目の前には
見たこともない大きくて白い建物
その場所に 3人で立っている
頑丈そうで大きな板が
がらがらと大きな音を立てて目の前に降りて来て
そのまま橋になった
すぐに別の音が聞こえてくる
見たこともない四本足の白い動物が走って来た
背中には大きな人と
自分たちと同じくらいの女の子
不安そうな顔をして目の前を過ぎていった
しばらくそれを見送っていたら
すぐ後ろで別の音が聞こえて
すぐに振り返ったら
さっきと同じ
でも真っ黒な動物に乗った
真っ黒な男が彼女の逃げて行った方を睨んでいた
そいつはオレたちの方に気付いて
旅をしていた
二度と悲しいことを起こさないために
世界中を回って
それを集める旅
幼なじみの少女と一緒に
傍らには大きな犬
父さんたちが飼っていた
俺の家族
久しぶりの里帰りで
俺を育ててくれたドワーフの養父<親父>と
母さんに今回の旅のことを話して聞かせた
傍らには
親父が造ってくれた氷の魔剣と
父さんが俺にくれた炎の魔剣
旅は大変なことばかりだけど
約束したんだ
だから俺は
俺のやり方で世界を守っていくって
幼なじみと一緒にそう話していたら
眠っていた
正確には何をしていたのか
自分でもわかんねぇ
ただ おれはもう戻れないから
かつて信頼していた師を倒して
第七音素意識集合体を解放して
おれっていう存在をかろうじて形作っていたものは
全部ほどけて
おれの被験者(オリジナル)のところに還って行ったから
だからもう残ったこの存在も
第七音素意識集合体の中に溶けて
消えていくって
…正直 ちょっと怖いけど
でも
なぁきいてるか?
第七音素意識集合体
おれ また みんなに会いたいな
それがだめなら
せめて
うん せめて
もしおれみたいな存在にでも
生まれ変わりがあるのなら
またみんなで旅がしたい な